仮想通貨ネットワークを強化する斬新な技術


日付: 2021-01-11 閲覧数: 94



2018年にビットコインが誕生して以来金融業界にディジタル革命が起きている。前世紀に現金取引がほとんどだったが、多くの銀行がディジタル化した銀行口座を提供するようになり、今は資金を銀行口座に預けたら瞬く間に他人に送金できる。2020年頃になると、口座間送金を司る技術が成熟し今どき数十万か数百万円を即時に自宅のソファから振り込むことが朝飯前だ。このような仕組みをつくりあげてきた中央権型金融システムが成し遂げた進歩を認めても良いと思いながら、最近注目を集めている分散型金融システム(仮想通貨インフラ)の進化も一見に値する興味深い現象だ。ということで今回はイーサリアムのネットワークにおけるマイニングの安全強化を目的とする研究について報告したい。


ビットコインの基となるアイデアが素晴らしいと思う人が多い。このアイデアが「ソーシャル・プラットフォーム」の概念に根付いている。ソーシャル・プラットフォームとは、SNS、エアビーアンドビー、ウーバーやウーバーイーツが代表的であり、2つの利用者を繋げてサービスを提供するインターネットに基づいた大規模な仕組みである。 例えばエアビーアンドビーを利用すると誰しも自分の部屋の広告を掲載して他人に宿泊用スペースを借りることが出来るようになるわけだ。ウーバーイーツは説明をようしないと思うが、アプリを使って好きな料理を注文し、玄関先まで配達してくれるというサービスになっている。利用者と利用者の間に利用者数の二乗の取引が可能となり、プラットフォームを提供する企業が一つの取引に対して少額な手数料を徴収しても塵も積もれば山となるから巨万の富を生み出せる。そして、このように所得を得る企業の拠点地となる国の税務署がソーシャル・プラットフォームの運営による所得をどのように課税するのか、また別の質問だ。当局が技術の進化についていけず行き当りばったりの方法で税法を変えようとするが多くの場合、もう手遅れだ。仮想通貨取引から得た収入をどのように課税したらいいのか、多くの国ではっきりした法律が存在していない。仮想通貨取引を行って所得を得ると当然税金を納めることは国民の義務だが、匿名性を確保する仮想通貨ウォレットを使用すると取引情報が好奇の目から隠すのがそんなに難しくない気がする。


1。悪意あるユーザの割合


ところが、今回は仮想通貨取引による所得ではなく、ブロックチェーン技術の進化に焦点を当てたいと思う。


陰謀論を避けて、新しいブロックチェーン技術と仮想通貨投資に伴うリスクについて詳しく述べる。


ビットコインの基となるインフラはソーシャルプラットフォームであるので、お金さえ持っていなければビットコインを米ドルとユーロと同様に誰でも購入できる。取引データの承認はマイナー(採掘者)によって行われる。マイニングに必要なハードウェアを手に入れて、マイニング用ソフトウェアを立ち上げることだけで裏社会から仮想通貨の世界に興味を持つようになった悪意のあるユーザであっても、善意のあるユーザであっても誰でもマイナーになれるわけだ。つまり、ブロックチェーンに書き込まれる取引情報が善意のあるユーザに承認されるか否か、まったく保証がない。ある社会においてこのに種類の人間の割合を考慮すべきだ。この割合を求めるのが決して簡単ではないが、悪意のあるユーザと誠実なユーザの割合は、多くの電子マネーシステムの安全性に関係するビザンチン将軍問題の肝心な要素であるので、解決策を探るときは必要条件として用いられる。


2。ビザンチン将軍問題


ビザンチン将軍問題を簡単に説明するとこうなる:都市を攻撃しようとする2つの軍団が全員一致で攻撃を仕掛けると成功する、そうしないと敗北するので、攻撃をする前にメッセンジャーによって情報交換を行う必要がある。協力的な攻撃を図ろうとすると、軍団を率いている将軍たちは、攻撃するか撤退するかとその日付と時刻を相手に伝えて同意決定しなければならない。メッセンジャーが誠実であれば問題ないが将軍の意図を意図的に改竄する悪意のあるメッセンジャーも存在し、敗北するか否か、明らかにメッセンジャー次第だ。ビザンチン将軍問題の解決策は、誠実な者の数が反逆者の数の3倍以上の場合のみ存在する。


もし、仮想通貨ネットワークもこのような仕組みとして考えると、反逆者(悪意あるユーザ)の数を抑える必要がある。以前に紹介した51%攻撃の問題もこの不確実性に起因する:仮想通貨投資を行う際に考慮すべき点


仮想通貨の仕組みの話しになると「分散型であること」がよく主張される。ネットワークが分散型であればあるほど、安全な取引を行えると言われており、利用者たちにほとんど同じような権利を割り当てるインフラが望ましいということも明白だ。ただ、膨大なマイニング能力を集約するマイニングプールはこの概念に逆らう気がしてきたら?これが間違いなく難しい質問だ。


ビットコインの採掘方法が分かりやすい。簡単にいうと取引データからハッシュ関数を計算し、その値が特定の条件を満たしたら処理完了だ。ビットコインの誕生の直後、CPUによるマイニングが一般的だったが、仮想通貨マイニングを事業とする大企業の需要に応え、相場の上昇につれてマイニング向けの専用ハードウェアの開発に取り組んだ製造業者による斬新な採掘機が相次いで市場に出された。主にビットコインのマイニングに特化した専用ハードウェアはASICマイナーと呼ばれる。多くの中国に本拠を置く製造業者による供給が爆発的な需要に追いつかなく、あるASICマイナーを今頼んでも玄関先に届くまでに1ヶ月以上待たされることも珍しくない。しかし、多数のマイニング機を製造できる業者はある日手元にある全ての機器のマイニング能力を合わせて、巨大なマイニング用サーバーをつくりあげると51%攻撃の話しはどうなるだろう?これは現実的なストーリーではないかもしれないが、頭の体操として一考に値するのではないか?


3.ビットコインの次にイーサリアム


前述の課題を解決する為にイーサリアムが考案されたのだ。要するに仮想通貨マイニングに特化した専用ハードウェア(ASIC)の普及を阻止することが目的だった。具体的にいうとうCPUによるマイニングから大量なメモリを必要とするGPUだけで効率的に採掘できる仮想通貨への遷移が起こった。例えば、イーサリアムの場合、大きなDAG(有効非巡回グラフ)をメモリに読み込ませてからマイニングするので、メモリ容量の限ったASICマイニング機器に向いていない。現在、イーサリアムのマイニングはハイスペックなGPUのみで行われている。GPUを用いたマイニングについてここで詳しく記述する:GPUでイーサリアムをマイニングしてみた結果報告


ビットコイン以外の多くの仮想通貨を採掘しようとすると、高額な専用ハードウェアを買わずに、誰でも市販のグラフィックボードを使用して仮想通貨を容易にマイニングできるようになるので、採掘者の分布がもっと均等な環境で悪意ある利用者たちの協力的な攻撃を妨げることも期待でき、51%攻撃の確率も減る。新規発行した(ICO)新しいコインの場合、51%攻撃の恐れが高いという課題が残っており、Ethereum Foundationのヴィタリック・ブテリン氏とサンノゼ州立大学の研究員たちがこの課題を解決しようとしている。


4. POSによる堅牢性向上


POWとはproof-of-workの略であり、仮想通貨インフラにおいて莫大な電力をかけて取引検証作業を行う仕組みのことを指す。この合意検証アルゴリズムは「コンセンサスアルゴリズム」とも呼ばれ、本来、ビットコインとイーサリアムもPOWアルゴリズムを採用したが、上述の51%攻撃を妨げる為にPOWアルゴリズムの改善が必要だった。ということで、数年前にPOS(proof-of-stake)というコンセンサスアルゴリズムが誕生した。およそ半年前にPOSに関する興味深い研究結果の報告書を次のリンクよりアクセス出来る:Combining GHOST and Casper


この報告書に提案したアルゴリズムの目的はイーサリアムネットワークの安全強化だった。POWのネットワークで不正や同期の遅れによってブロックチェーンに矛盾が生じるので、この脆弱性を悪用しようとする利用者が二重払いを行えるようになる。例えば、現金を使って、ブダペストのビットコインATMで1万円分の仮想通貨を購入し、それを即座に同じビットコインATMに売却する。そしてそれと同時にウィーンにある仮想通貨ATMにも同じコインを売却し、ビットコインATMの前に待っている友人にその旨を伝える。するとブダペストでもウィーンでも1万円分の通貨を引き出せるようになる。明らかに、このような不正取引によって仮想通貨ネットワークが無秩序に陥るだろう。


ビットコインのブロックチェーンの場合、2つの採掘者が同時に取引検証に成功するとなると、ブロックの長い方の結果が認められるので、膨大な計算能力を手にしたマイナーが他のマイナーより速くマイニングできるようになり、常に誰よりも長いブロックを採掘するわけだ。ヴィタリック・ブテリン氏たちが2020年5月に提唱したコンセンサスアルゴリズムが採掘者の不均等な分布による二重払問題を解消するためのものである。


POSの場合、POWと少し違って膨大な電力より仮想通貨への初期投資が必要となってくる。このように仮想通貨を購入し、相当長く保有することは「ステーキング、stacking」と呼ぶ。ところが、なぜ最初に仮想通貨を買わないとダメなのと聞く人もたくさんいると思う。確かに、盲目的に投資するというやり方はあんまり良くないが、POWの場合は採掘者たちは取引検証を行うハイスペックなマイニング機に資金を費やすが、POSの場合、この検証作業はほとんど時間と電力もかからいことを考えたら腑に落ちるのではないだろうか?プルーフオブステークアルゴリズムによってブロックを検証するネットワークでの利用者が次の正しいブロックに投票し、全ての投票者がPOSブロックチェーンの進化に寄与し、投票数の一番多いブロックが次のブロックとして認められ、ブロックチェーン上に記録されるわけだ。前述したビザンチン将軍問題で誠実な将軍とメッセンジャーの割合が十分高ければ、解決策が存在すると同様にPOSネットワークにおいて誠実な利用者が多ければブロックチェーンが正しい方向に進化するというアイデアがPOS仕組みの要だ。既に投票した利用者が再び投票すると二重払いと同じような問題が生じるから、この行為は許せない。具体的に、二重投票を行おうとする利用者が罰を受けて、ステーク(掛け金)から一定量の仮想通貨が没収され、不正行為を発見した誠実な利用者にその分のコインが報酬として付与されるので、誠実な行為を奨励するような賢明な仕組みになっているわけだ。


下の画像に水色で投票数の多いブロックによって進化したブロックチェーンを示す:


新たなPOSアルゴリズムによって成長するブロックチェーン(Combining GHOST and Casper)


ブロック検証を行う際、一定の投票者から委員会(コミティー)をつくり、その中での一つの利用者が正しい(矛盾のない)と思われるブロックによる遷移を提案しなければならない。そして、残りの利用者がこの遷移が正しいか否か投票するわけだ。正しそうな遷移だと多くの投票を得るはずだが、怪しげな取引のブロックは審査に通る可能性が低く、このように不正取引を含むブロックを提案した利用者の保有したステークが伐採の対象となる。


5。イーサリアムマイニングによる報酬


POSネットワークにおいて2つの方法で報酬を得られる。前述したように、利用者は正しい遷移を提案した場合矛盾していないブロックに投票した場合でも仮想通貨を獲得できる。このように、ネットワークが善意ある参加者を支援し、悪意あるユーザからステーキングしたお金を没収する仕組みになっており、どれほどの安全性を確保したいかによって報酬と罰金の金額を設定する。


先ほど説明したPOSプロトコルが多くのシステムで採用されている。興味のある方は次のいくつかの仕組みをご覧ください: TendermintCasper CBCHotstuff, OuroborosSnow WhiteNxtThunderellaDfinity


POSによる仮想通貨ネットワークの普及によってPOWに基づいたブロックチェーンの採用率が下がるだろう。POS技術を適用すると、高額な専用ハードウェアを購入し膨大な電力を費やす必要がなくなり、間違いなく斬新かつ賢明なアイデアだと思う。


筆者:LB


出典:How to make cryptocurrency networks more secure?


画像:pixabay.com



コメント (0)


記事特選